肛門外来
いぼ痔(内痔核)
- いぼ痔(内痔核)の症状
- 原因と予防
- 治療方法
- よくあるご質問
いぼ痔について
いぼ痔(内痔核)は、便秘や下痢などで肛門に長期間負担がかかり、血液の循環が悪くなることで肛門の静脈叢がうっ血して腫れる状態です。進行すると出血や脱出が見られます。歯状線(腸と肛門の皮膚の境界)より内側にできるのが内痔核、外側にできるのが外痔核です。内痔核は痛みがなく、排便時の出血や脱出が特徴ですが、外痔核は痛みを伴うことが多いです。内痔核でも嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になると、肛門が腫れ上がり、強い痛みを感じることもあります。
いぼ痔の症状
- 肛門からいぼ痔が脱出する
- 痛みはないが排便時に出血する
- おしれが腫れて痛む
いぼ痔になる原因
肛門には腸とおしりの皮膚の境目に歯状線(しじょうせん)と呼ばれる部位があり、その周辺に血管が集まり静脈叢(じょうみゃくそう)をつくっています。
排便時に強くいきんだり、長時間座りっぱなしなどで血液の循環が悪化し、静脈叢がうっ血して腫れることが主な原因です。妊娠や出産、便秘や下痢、香辛料やお酒の過剰摂取、冷え性なども関係します。
いぼ痔にならないための7か条
- お風呂に毎日はいりましょう
- おしりはきれいに
- 便秘や下痢にならないようにしましょう
- アルコール・こしょう・からしなどの刺激物は避けましょう
- 食物繊維を食べましょう
- 腰を冷やさないようにしましょう
- 長時間座りっぱなしはやめましょう(長時間のドライブやデスクワークなど
いぼ痔の治療方法
- 薬での治療
患部に直接塗る外用薬(坐薬、注入軟膏)や内服薬があります。薬で症状が落ち着くことがほとんどですが、いぼ痔が自然に消えることはなく、再発防止には排便習慣や生活習慣の改善が重要です。薬で治らない場合は手術が必要です。
- 手術(注射療法)
内痔核の治療には注射療法(ALTA)と切除術があります。
ALTA(ジオン注射)は、痔に流れ込む血液を減らし、痔を硬くして粘膜に固定する注射剤です。痔に流れ込む血液の量を減らして、痔を固くして癒着・固定させる注射薬です。投与した部分が次第に小さくなり、元の位置に癒着・固着して脱出が見られなくなります。通常1週間~1ヶ月ほどで効果が現れます。痔を固くしてから治療することから硬化療法と呼ばれています。
日帰りで行うことも可能ですが、当院では1泊2日間の入院で治療を行います。
- 手術(切除術)
いぼ痔の血管を縛り、いぼ痔を切除する手術です。腰椎麻酔を使用するため、手術中の痛みはありません。入院期間は1-2週間です。適応については診察所見で判断しますのでご相談ください。
Q1.いぼ痔の原因は何ですか?
長時間の座位や排便時の強いいきみが原因とされています。その他にも妊娠、出産、便秘、下痢、香辛料やアルコールの過剰摂取、冷え性などが関係しています。
Q2.いぼ痔はどのような症状がありますか?
症状には、出血、肛門の腫れ、痛み、痔核の脱出などがあります。
Q3.いぼ痔はどのように治療しますか?
軟膏や内服薬を使った薬物療法や、症状が重い場合には注射療法(ALTA)や切除術などの手術療法があります。
Q4.いぼ痔の予防方法は?
規則的な排便習慣や適度な運動、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。また、長時間の座位を避けることも効果的です。
Q5.手術は必要ですか?
症状が重く、薬物療法で改善しない場合に手術が検討されます。具体的には注射療法(ALTA)や切除術があります。
Q6.手術後のケアはどうすればいいですか?
術後は適切な排便習慣を保つことが重要です。また、定期的な診察と医師の指示に従ったケアを行います。
Q7.いぼ痔は再発しますか?
生活習慣や排便習慣が改善されない場合、再発することがあります。再発防止には適切なケアと生活習慣の改善が必要です。
Q8.妊娠中にいぼ痔ができた場合、治療は可能ですか?
妊娠中の治療は制限がありますが、症状を和らげるための治療法が提供されます。詳細は医師に相談してください。
切れ痔(きれ痔・裂肛)
- 切れ痔の症状
- 主な原因
- 治療方法
切れ痔(きれ痔・裂肛)の症状
切れ痔(裂肛)は、肛門の皮膚が裂けることで生じる状態です。主な症状は以下の通りです
- 排便時の強い痛み
- 排便後の出血
- 肛門周囲の痒みや違和感
- 慢性的な場合、肛門狭窄や痔瘻が形成されることがあります
切れ痔の主な原因
切れ痔の主な原因は、以下の通りです
- 便秘
固い便が肛門を通過する際に皮膚を傷つけることがあります。
- 下痢
頻繁な排便によって肛門が刺激されることで皮膚が裂けやすくなります。
- 排便時の強いいきみ
強くいきむことによって肛門周辺に過度な圧力がかかり、皮膚が裂けることがあります。
- 出産
出産時の強いいきみや圧力も、肛門周辺の皮膚にダメージを与えることがあります。
切れ痔の治療方法
当院では通常、裂肛は保存的治療が一般的になりますが、薬物療法では治らない痛みや潰瘍、痔瘻の形成や肛門狭窄により生活に支障をきたす場合には、手術による治療が必要となります。
以下に治療法を詳述します。
- 保存的治療
軟膏や坐薬を使用し、傷の治癒を促進し、痛みを和らげます。食物繊維を多く含む食事や水分摂取を増やし、便通を改善することが推奨されます。
- 手術治療
以下の手術法があります。
- 裂肛根治術
裂肛を完全に治す手術で、裂けた部分を縫合し、治癒を促進します。
- 肛門狭窄形成術
肛門が狭くなっている場合、その部分を広げる手術です。
- 側方内括約筋切開術(LSIS)
肛門括約筋の一部を切開し、緊張を緩和することで裂肛の治癒を助ける手術です。
- 皮膚弁移動術(SSG)
いずれの手術も入院が必要であり、当院では通常10日間の入院としています。適応に関しては診察時の所見によって異なりますので、診察時にご相談ください。
このように、切れ痔の治療には保存的治療から手術治療まで様々な方法がありますが、症状の重さや患者様の生活の質を考慮し、最適な治療法を選択します。
あな痔(痔瘻)
- あな痔の症状
- 主な原因
- 治療方法
- よくあるご質問
あな痔(痔瘻)の症状
あな痔(痔瘻)は、肛門周囲に感染が広がり、トンネル状の通路(痔管)が形成される状態です。主な症状は以下の通りです。
- 肛門周囲の腫れや痛み
- 肛門周囲の膿や血液の排出
- 熱感や発熱
- 慢性的な場合、肛門周囲に硬いしこりができることがあります
あな痔の主な原因
あな痔の主な原因は、以下の通りです。
- 感染
肛門周囲の感染が痔管を形成し、膿がたまることが原因です。肛門腺が詰まり、細菌感染を引き起こすことがあります。
- 便秘や下痢
長期的な便秘や下痢が肛門周囲の感染を引き起こし、痔瘻が形成されることがあります。
- クローン病
クローン病は、消化管全体に炎症が起こる慢性の炎症性腸疾患であり、肛門周囲に痔瘻が形成されやすくなります。
- その他の要因
過去の肛門周囲の外傷や手術、免疫力の低下なども関係することがあります。
あな痔の治療方法
あな痔の治療法には、以下の方法があります。
- 保存的治療
軽度の症状や急性期の感染には、抗生物質の投与や、炎症を抑えるための軟膏を使用します。
- 手術治療
症状が重い場合や慢性化した場合には、手術が必要となります。以下の手術法があります。
- 痔瘻切開術
痔管を切開し、膿を排出させ、感染部位を洗浄します。これにより、感染の再発を防ぎます。
- 痔瘻摘出術
痔管を完全に摘出する手術です。摘出後に縫合し、治癒を促進します。
- シートン法
痔管内にゴムの糸を通し、徐々に締め付けることで痔管を切開し、膿を排出させる方法です。
いずれの手術も入院が必要であり、当院では通常1~2週間の入院期間を設けています。適応に関しては診察時の所見によって異なりますので、診察時にご相談ください。
Q1.あな痔(痔瘻)の主な症状は何ですか?
主な症状には、肛門周囲の腫れや痛み、膿や血液の排出、熱感や発熱などがあります。慢性的な場合、肛門周囲に硬いしこりができることもあります。
Q2.あな痔の原因は何ですか?
肛門周囲の感染が主な原因です。肛門腺が詰まり、細菌感染を引き起こすことで痔管が形成されます。また、便秘や下痢、肛門周囲の外傷や手術、免疫力の低下、さらにクローン病などの慢性炎症性腸疾患も原因となります。
Q3.あな痔はどのように診断されますか?
診断には、視診、触診、超音波検査、MRIなどが用いられます。これにより、痔管の位置や範囲を正確に把握します。
Q4.あな痔の治療法は何ですか?
軽度の症状や急性期の感染には、抗生物質や軟膏を使用します。症状が重い場合や慢性化した場合には、痔瘻切開術、痔瘻摘出術、シートン法などの手術が行われます。
Q5.手術後のケアはどうすればいいですか?
術後は、適切な排便習慣を保つことが重要です。また、定期的な診察を受け、医師の指示に従ったケアを行うことが再発防止につながります。
Q6.あな痔は再発しますか?
生活習慣や排便習慣が改善されない場合、再発することがあります。再発防止には適切なケアと生活習慣の改善が必要です。
Q7.妊娠中にあな痔ができた場合、治療は可能ですか?
妊娠中の治療は制限がありますが、症状を和らげるための治療法が提供されます。具体的な治療方法については、医師に相談してください。
Q8.手術は入院が必要ですか?
はい、手術には通常1~2週間の入院が必要です。入院期間は症状や手術の内容によって異なりますので、診察時にご相談ください。
血栓性外痔核
- 血栓性外痔核の症状
- 主な原因
- 治療方法
- よくあるご質問
血栓性外痔核の症状
血栓性外痔核は、肛門周囲の静脈に血栓が形成されることで急激な痛みを引き起こす状態です。主な症状は以下の通りです。
- 肛門周囲の急激な痛み
- 肛門周囲の腫れや硬いしこり
- 排便時や座ったときの痛みの増加
- 肛門周囲の青紫色の変色
主な原因
血栓性外痔核の主な原因は以下の通りです。
- 排便時の強いいきみ
強くいきむことで肛門周囲の静脈に過剰な圧力がかかり、血栓が形成されやすくなります。
- 長時間の座位
長時間座り続けることで肛門周囲の血液の循環が悪くなり、血栓が形成されるリスクが高まります。
- 妊娠や出産
妊娠中や出産時の圧力変化により、肛門周囲の静脈に負担がかかりやすくなります。
- その他
便秘や肥満、激しい運動、外傷なども血栓性外痔核の原因となることがあります。
血栓性外痔核の治療方法
血栓性外痔核の治療法には以下の方法があります。
- 保存的治療
軽度の症状の場合、以下の保存的治療が推奨されます。
- 鎮痛剤
痛みを和らげるために鎮痛剤を使用します。
- 抗炎症薬
炎症を抑えるための薬を使用します。
- 座浴
温かいお湯に肛門を浸すことで痛みを和らげ、血液循環を改善します。
- 食事改善
食物繊維を多く含む食事や十分な水分摂取により、便通を改善し、肛門への負担を軽減します。。
- 手術治療
症状が重い場合や膿がたまっている場合には手術が必要です。
- 血栓除去術
血栓を取り除く手術です。局所麻酔下で行われ、痛みを速やかに緩和する効果があります。
Q1.血栓性外痔核の主な症状は何ですか?
主な症状は、肛門周囲の急激な痛み、腫れ、硬いしこり、青紫色の変色などです。特に排便時や座ったときに痛みが増すことがあります。
Q2.血栓性外痔核の原因は何ですか?
排便時の強いいきみ、長時間の座位、妊娠や出産、便秘、肥満、激しい運動、外傷などが原因となります。
Q3.血栓性外痔核はどのように診断されますか?
診断は視診と触診によって行われます。痛みや腫れの部位、色の変化などを確認します。
Q4.血栓性外痔核の治療法は何ですか?
軽度の場合は鎮痛剤や抗炎症薬の使用、座浴、食事改善などの保存的治療が行われます。症状が重い場合や保存的治療で改善しない場合は、血栓除去術などの手術が行われます。
Q5.手術後のケアはどうすればいいですか?
術後は適切な排便習慣を保つことが重要です。定期的な診察を受け、医師の指示に従ったケアを行うことで再発防止につながります。
Q6.血栓性外痔核は再発しますか?
生活習慣や排便習慣が改善されない場合、再発することがあります。再発防止には適切なケアと生活習慣の改善が必要です。
Q7.妊娠中に血栓性外痔核ができた場合、治療は可能ですか?
妊娠中の治療は制限がありますが、症状を和らげるための治療法が提供されます。具体的な治療方法については、医師に相談してください。
Q8.手術は入院が必要ですか?
血栓除去術は通常、日帰りで行われることが多いですが、症状や状況によっては入院が必要な場合もあります。詳しくは医師に相談してください。
肛門周囲膿瘍
- 肛門周囲膿瘍の症状
- 主な原因
- 治療方法
- よくあるご質問
肛門周囲膿瘍の症状
肛門周囲膿瘍は、肛門周辺の皮膚の下に膿がたまる感染症です。主な症状は以下の通りです
- 肛門周囲の強い痛み
- 肛門周囲の腫れや赤み
- 発熱
- 排便時の痛みの増加
- 肛門周囲の皮膚からの膿の排出
主な原因
肛門周囲膿瘍の主な原因は以下の通りです。
- 感染
肛門腺が細菌感染を起こし、膿がたまることが原因です。肛門周囲の傷や裂け目から細菌が侵入することが多いです。
- 免疫力の低下
免疫力が低下していると感染しやすくなります。
- 炎症性腸疾患
クローン病などの炎症性腸疾患を持つ人は、肛門周囲膿瘍を発症しやすくなります。
肛門周囲膿瘍の治療方法
肛門周囲膿瘍の治療法には以下の方法があります。
- 保存的治療
軽度の症状の場合、以下の保存的治療が推奨されます。
- 抗生物質
感染を抑えるために抗生物質を使用します。
- 座浴
温かいお湯に肛門を浸すことで痛みを和らげ、血液循環を改善します。
- 手術治療
症状が重い場合や保存的治療で改善しない場合には手術が必要です。
- 切開排膿術
膿を排出するために、膿がたまっている部位を切開し、膿を排出させます。感染部位を洗浄し、必要に応じてドレナージを行います。
- 痔瘻形成の予防
肛門周囲膿瘍が再発する場合や痔瘻が形成される場合には、痔瘻の予防のための手術が行われます。
Q1.肛門周囲膿瘍の主な症状は何ですか?
主な症状には、肛門周囲の強い痛み、腫れ、赤み、発熱、排便時の痛みの増加、皮膚からの膿の排出などがあります。
Q2.肛門周囲膿瘍の原因は何ですか?
肛門腺の細菌感染が主な原因です。また、免疫力の低下や炎症性腸疾患(クローン病など)もリスクを高めます。
Q3.肛門周囲膿瘍はどのように診断されますか?
診断は視診と触診によって行われます。痛みや腫れの部位、発熱の有無などを確認します。必要に応じて超音波検査やMRIが行われることもあります。
Q4.肛門周囲膿瘍の治療法は何ですか?
軽度の場合は抗生物質や座浴などの保存的治療が行われます。重症例や膿がたまっている場合は、切開排膿術などの手術治療が必要です。
Q5.手術後のケアはどうすればいいですか?
術後は適切な排便習慣を保ち、感染を防ぐために定期的な診察を受け、医師の指示に従ったケアを行うことが重要です。
Q6.肛門周囲膿瘍は再発しますか?
再発することがあります。再発防止には適切なケアと生活習慣の改善が必要です。特に痔瘻が形成される場合は、追加の治療が必要になることがあります。
Q7.妊娠中に肛門周囲膿瘍ができた場合、治療は可能ですか?
妊娠中の治療は制限がありますが、症状を和らげるための治療法が提供されます。具体的な治療方法については、医師に相談してください。
Q8.手術は入院が必要ですか?
肛門周囲膿瘍の切開排膿術は通常、日帰りで行われることが多いですが、症状や状況によっては入院が必要な場合もあります。詳しくは医師に相談してください。